国家の品格
あらすじ
最初に論理の欠点を示し、自由、平等、民主主義の定義の論理を批判し、市場主義、競争社会をも批判していた。次に、情緒や形の重要性とその理由、日本古来の武士道精神のよさ、などへの作者なりの意見を述べている本であった。
一番印象に残った事は、近代社会全体、特に民主主義を批判していたことです。私は自由や平等に批判などしたことがありません。その理由は、特にないですが、批判しようとも思わなかったからとでも言うべきでしょうか。民主主義は、過去の戦争の例をあげ、国民は永久に成熟した判断をすることが出来ないから論理の出発点はいい加減で論理的ではなく、修正されなければならない。それを解決するためにはどうすればいいか?など、もちろん考えたことはありませんでした。このような現代社会の基礎の概念にまで自分の意見を持っている人がいるということにビックリしました。これまでいいものだと思い込んでいた自分はなんてちっぽけな存在なのだろう、何の考えも持っていない浅はかな人間なのだなと感じさせられました。
論理の出発点を決めるのはその人の情緒である、とありました。まさしく、自分にはこの情緒力が足りないのでは?と感じます。人生でまったくといっていいほど無常観、もののあわれを感じたことがありませんし、武士道精神など、ラストサムライを見たくらいではまったくわかりませんでした。せっかく日本に生まれたのだから、日本の歴史や文学、自然に今まで以上にふれて、そういった日本人独特の情緒を磨いていくことが必要なのだなと思いました。