宮本武蔵
彼の幼少から死ぬまでの話
武蔵はワザと遅れていくことで相手をイラつかせ隙をつく、自分から隙を見せて相手が今だと思った瞬間の力みを見逃さず仕留めるといったように、相手の意識を制することを心がけていたようだ。つまり相手の先手を取ることが重要というわけである。
佐々木小次郎との戦いは有名であるが、その戦いでも、武蔵はワザと遅れていく。そして相手を誘う。小次郎の長剣よりも一寸長い剣を櫂で作り、一寸の間合いを見切って小次郎を倒してしまう。彼は心理学者のようにずる賢い。戦国の世では、頭がいい者しか生き残れないのだろう。こんな戦い方は武蔵にしか出来ないし、人に教えることなど出来ないに違いない。そのため、仕官の際に、伝承不可能とされ、取立てられなかった。能力のある者は、必ずしも名声と地位を得る事はできないといういい例である。仕官も出来ず、武将でもなかった彼だが、この本のように今でも語り継がれているという事実は驚きである。本当にすごい人だったのだろうと感じさせられた。